こちらはシルバーレインの参加キャラクター『如月狩耶』の日記です。あくまで架空の人物です。こんな名前の人が現実にいるわけがありません。きっと、たぶん、おそらく、いないかもしれない。
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「会いたかったぜ…」
青年は、目の前に広がる闇色に向かって、つぶやいた。
「妹が教えてくれた、テメェがどこにいるのか…」
赤茶色の瞳が、闇を射抜く。
「テメェがいったい何なのか。」
ぎりっと青年は唇をかみ締めていた。ほんのりと、赤いしずくが浮かびあがっている。
「嬉しいぜェ…。」
大きな闇色に潜む陰が、その巨躯を揺らし、「ほう」と呟きをもらした。
「テメェの腸ん中にあるオレの右腕が、喜んでいるんだァッ!」
叫びとともに、青年は左腕につかむ杖と共に、闇の中へと飛び込んだ。
だけど、力の差は歴然だった。
青年は強い、だが強いのは『技』だけであり、陰の笑みを消し去るほどの力が圧倒的に不足していた。
それは僕の目から明らかだった。正直、技もセンスも僕より抜群に上だが、力が足りてない…。
勝てるわけがない。
だが、青年は何度も何度も血の池から立ち上がる。
何度も何度も膝をついては、何度も何度も血を流しては、青年は雄たけびをあげる
「まだ、戦える…。」
もはやその言葉は青年を立ち上がらせる『呪い』に等しい。
「如月の…、祖先の罪を、背負わせねぇ…。姫野にも、娘にも…、せおわねぇっ。」
願望を唱える青年、だがその願望は目の前の陰にとってはとるにたらぬ戯言でしかない。
「オレが、終わらせてやる…。」
何度この人は倒れたのだろう。なのになぜ起き上がれるのだろうか。
致命傷を負わされているはずなのに、この人はまるでそれを意に介さず、むなしくも杖を振るって戦うのだ。
まるで、戦いの申し子のように…。
「幸せに、してやる。オレの、オレの全てをかけてもっ!!」
男が、そのとき胸元から取り出した札を放つと、大きな閃光が爆ぜる。
この人はきっと、これを狙っていたのだ。だが――
陰は、無傷だった。体を縛る光は、虚しく消える。陰の笑みは、終始耐えることはなかった。
男の顔に、絶望の二文字が浮かび上がる。
そのときだ、陰から大きな赤い炎が、世界を侵食するように広がり、男を包み込もうとする。
「まだだ…」
男はまた呪文にように唱える。
「オレはまだ、戦えるぞォォォォッ!」
自ら、赤き炎に飛び込む男、すでにその腕に愛用の杖はない。
だが男は手を伸ばしていた、武器もなにももたぬ空手で、何かをつかもうと必死に。
その手は、よくみると僕に向かって伸ばされていた。
以上のような、変な夢だった。
男はまるで覚えのない顔だし、陰だって…本当になにかはっきりと見えなかった。
ただ、悲しい夢だった。
結局男は何も守れず、奪われただけなのだから、悲しいという感情以外浮かぶものはない。
僕は、如月本家でもらいうけた鳴杖に手を伸ばす。
男はこのような大きさの杖を頼りに、たった一本の腕だけで戦っていた。
いったいどういう気持ちだったのだろうか。
ふと、そのときに気がついた。そういえばこの鳴杖は、先端の金属部分が焼き焦げている。
「――まさか。」
そう――全ては夢、現のことではなく、ただの妄想。
あの鬼も、あの男も、すべては僕の脳内が生み出した産物であり、外にでれば一瞬で霧散する存在。
そうだ、全部夢なんだ。
親父や母さんがいなくなったのも、僕の義理の兄と名乗る男も、今日見た夢も全部。
さて、今日も一日、がんばろう。
僕は鳴杖を手に、今日も楽しい一日が過ごせることを祈った。
青年は、目の前に広がる闇色に向かって、つぶやいた。
「妹が教えてくれた、テメェがどこにいるのか…」
赤茶色の瞳が、闇を射抜く。
「テメェがいったい何なのか。」
ぎりっと青年は唇をかみ締めていた。ほんのりと、赤いしずくが浮かびあがっている。
「嬉しいぜェ…。」
大きな闇色に潜む陰が、その巨躯を揺らし、「ほう」と呟きをもらした。
「テメェの腸ん中にあるオレの右腕が、喜んでいるんだァッ!」
叫びとともに、青年は左腕につかむ杖と共に、闇の中へと飛び込んだ。
だけど、力の差は歴然だった。
青年は強い、だが強いのは『技』だけであり、陰の笑みを消し去るほどの力が圧倒的に不足していた。
それは僕の目から明らかだった。正直、技もセンスも僕より抜群に上だが、力が足りてない…。
勝てるわけがない。
だが、青年は何度も何度も血の池から立ち上がる。
何度も何度も膝をついては、何度も何度も血を流しては、青年は雄たけびをあげる
「まだ、戦える…。」
もはやその言葉は青年を立ち上がらせる『呪い』に等しい。
「如月の…、祖先の罪を、背負わせねぇ…。姫野にも、娘にも…、せおわねぇっ。」
願望を唱える青年、だがその願望は目の前の陰にとってはとるにたらぬ戯言でしかない。
「オレが、終わらせてやる…。」
何度この人は倒れたのだろう。なのになぜ起き上がれるのだろうか。
致命傷を負わされているはずなのに、この人はまるでそれを意に介さず、むなしくも杖を振るって戦うのだ。
まるで、戦いの申し子のように…。
「幸せに、してやる。オレの、オレの全てをかけてもっ!!」
男が、そのとき胸元から取り出した札を放つと、大きな閃光が爆ぜる。
この人はきっと、これを狙っていたのだ。だが――
陰は、無傷だった。体を縛る光は、虚しく消える。陰の笑みは、終始耐えることはなかった。
男の顔に、絶望の二文字が浮かび上がる。
そのときだ、陰から大きな赤い炎が、世界を侵食するように広がり、男を包み込もうとする。
「まだだ…」
男はまた呪文にように唱える。
「オレはまだ、戦えるぞォォォォッ!」
自ら、赤き炎に飛び込む男、すでにその腕に愛用の杖はない。
だが男は手を伸ばしていた、武器もなにももたぬ空手で、何かをつかもうと必死に。
その手は、よくみると僕に向かって伸ばされていた。
以上のような、変な夢だった。
男はまるで覚えのない顔だし、陰だって…本当になにかはっきりと見えなかった。
ただ、悲しい夢だった。
結局男は何も守れず、奪われただけなのだから、悲しいという感情以外浮かぶものはない。
僕は、如月本家でもらいうけた鳴杖に手を伸ばす。
男はこのような大きさの杖を頼りに、たった一本の腕だけで戦っていた。
いったいどういう気持ちだったのだろうか。
ふと、そのときに気がついた。そういえばこの鳴杖は、先端の金属部分が焼き焦げている。
「――まさか。」
そう――全ては夢、現のことではなく、ただの妄想。
あの鬼も、あの男も、すべては僕の脳内が生み出した産物であり、外にでれば一瞬で霧散する存在。
そうだ、全部夢なんだ。
親父や母さんがいなくなったのも、僕の義理の兄と名乗る男も、今日見た夢も全部。
さて、今日も一日、がんばろう。
僕は鳴杖を手に、今日も楽しい一日が過ごせることを祈った。
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